中島学区地域気象情報

京都大学防災研究所巨大災害研究センター矢守研究室

地域気象情報とは

 災害時には、気象情報、避難情報、被害情報等、多種多様の情報が社会において流通する。その中で、とりわけ気象情報は、災害に対する事前情報としての要望が強く、主に気象庁を中心に、情報としての高度化と精度の向上が図られてきました。これまでの気象情報の高度化は、情報の意味や意図を知るものにとっては、より高度化・精緻化された利用しやすい情報として認識されているところもあるが、一方で情報の多様化・複雑化により、ますます気象情報の作成者と利用者の間にある壁を高くしたとも言えます。
 高度化、多様化する気象情報の適切かつ効果的な利用を促すためには、情報の作成者と利用者の間を仲介する広義のメディア(道具、仕組みなど)が必要である。このメディアの一つとして、本研究では、「地域気象情報」の取組によるアプローチを試みています。  地域気象情報は、専門性の高い膨大な気象情報を、地域性の高い身近な表現を利用し、直感的に災害リスクを理解できる地域気象情報に変換することで、情報のローカリティを高め、状況把握と危機意識の事前醸成を助け、早期の災害への対応行動へと結びつけることを目的としています。また地域住民自らが情報の内容について、主体的に検討することにより、情報への意識を高める。これは、情報による利用者側の情報リテラシー向上、そして災害に対するリアリティの構築、情報の作成者と利用者の間の情報を媒介とした共同意識の構築を目指すものである。
 そのため、地域気象情報は、発表された気象情報や観測情報を、地域の言葉に置き換えて災害に備えるものであり、地域独自の情報に基づくものではありません。なお、避難行動については、最終的な判断基準となるのは、市町村の発表する避難情報であり、地域気象情報は、避難情報に対する事前情報として、事前に災害への意識を高め、避難情報を補佐するなどの役割が期待されます。